主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
視覚に障害を持つ盲導犬使用者が感じる課題は,公共施設への盲導犬の同伴拒否や盲導犬に関する間違った認識など,社会の理解不足からなるものが多い。また,盲導犬事業は資金の大半を民間からの寄付で賄っており,効果的な啓発によって寄付を募る方法の見直しは,意味があると考えられる。本研究は,盲導犬使用者に対する必要な援助行動を整理し,社会の理解度や注目度を高める効果的な啓発についての考察を行った。調査対象は,日本の全11の盲導犬育成団体のWEBサイトであった。結果,盲導犬育成団体のWEBサイトでは,援助の効果を訴える援助効果広告よりも援助の必要性を訴える援助必要性広告が多く使用されており,盲導犬の画像を使用し,寄付を訴えるものが多かった。盲導犬育成団体にとって,寄付収益の確保は重要課題であり,寄付をより集めやすい援助必要性広告が中心となるのは必然的だと考えられる。改善点として,啓発に画像を使用していない団体は使用すること,また,盲導犬の寂し気な画像は負の印象を与える可能性があるため,感情的な訴えになりすぎないようにすることが挙げられる。今後は,啓発方法による啓発効果の差異の調査が有意義と考えられる。