日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-068
会議情報

3.社会・文化
援助場面の想起が援助者・援助要請者が知覚する援助コストに及ぼす影響
*古橋 健悟五十嵐 祐
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

問題が生じた際に他者に援助を求める行動である援助要請行動は,問題に対する対処行動として有効である。先行研究では,援助者のコストが大きい場合,援助要請行動は抑制されることが示されている。一方,援助要請者は,援助者のコストを過大評価する傾向がある。本研究では,援助行動の想起を行うことにより,この援助者と援助要請者間の差異を減じることができるかどうかを検討した。実験では,援助体験・援助拒否体験・差異体験(援助者と援助要請者間の差異を感じた体験)を想起することの効果を検討した。参加者にいずれかの想起を行うように求めた後,参加者自身が援助者となるシナリオ・援助要請者となるシナリオのそれぞれについて,援助者のコストを評価するよう求めた。その結果,差異体験の想起により,援助者のコストが低く知覚されることが示された。一方,援助拒否体験の想起により,援助者のコストが高く知覚されることが示された。また,いずれの想起も,援助者・援助要請者間の差異を減じる効果は見られなかった。本研究の結果から,差異体験の想起は,援助行動・援助要請行動を促進する介入に繋がる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top