日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-088
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3.社会・文化
SNS上の拒絶・受容状況における安心さがし行動の生起過程の検討(2)自己に対する慈悲への恐れの仲介効果
*長谷川 孝治古里 由香里古谷 嘉一郎佐藤 広英
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キーワード: 安心さがし, 自尊心, SNS
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抄録

安心さがしとは,重要他者に対して自分のことが大切かを過度に確認することであり,低自尊心者がとることで他者からの拒絶を引き起こす。SNS上の安心さがし研究では,低自尊心者は,フォロワーから受容される状況にも関わらず安心さがしツイートするという不適応な過程が示された。本研究では,この過程について慈悲への恐れの仲介効果を検討した。慈悲への恐れとは,コンパッションへの恐怖感のことで,自己へ,他者へ,他者からの慈悲への恐れの3側面があるとされる。18~35歳までのTwitterとLINE利用者563名への想定法を用いたWeb調査によって,以下のことが明らかにされた。拒絶条件では,自尊心が低いほど,自己への慈悲の恐れが高く,それが安心さがしツイート数を増やすという仲介過程が示された。これに対して,受容条件では,自尊心が低いほど,安心さがしツイートが多くなるという直接効果が示された。これらの結果から,低自尊心者に対する状況依存的な介入の効果が示唆された。すなわち,拒絶状況では自己への慈悲への恐れを取り除くことが有効であり,受容状況ではそれ以外の自己起因の認知の歪みを低減する介入の有効性が示唆された。

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