日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-089
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3.社会・文化
歩くことの社会心理学(2)散歩中の行為と精神的回復力
*岡本 卓也
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キーワード: 歩くこと, 精神的回復力
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抄録

近年,「歩く」という行為が注目されている。定期的な散歩,ウォーキングを行う人も増加している。特にコロナ禍での自粛要請により,遠隔地への観光旅行が出来なくなったことに伴い,近隣コミュニティでの散歩への注目が集まっている。一方で,ウォーキングの効用について,運動が身体の生理面に及ぼす影響については様々な研究がなされているものの,心理面に及ぼす影響についてはまだ十分に検討されていない(蓑内,2002)。そこで本研究では散歩中の行為が精神的回復力に与える影響について検討する。2021年4月にYahooアウトソーシング登録者を対象に500名の調査参加者を募集して実施した。調査は土曜日深夜から日曜日の夕方に実施され,実際の調査参加者は557名(男性382名,女性175名)であった。散歩中の行為を独立変数,精神的回復力を従属変数とした重回帰分析を行った結果,高頻度で散歩を行う人は,散歩中の知人との会話や健康への配慮が肯定的未来志向に正の影響を与え,新しいお店の探索や知人との会話が感情調節に正の影響を与えていた。一方で,散歩中の音楽聴取は,散歩頻度にかかわらず精神的回復力に負の影響を与えていた。

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© 2021 公益社団法人 日本心理学会
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