日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-095
会議情報

3.社会・文化
COVID-19パネル調査データから見る回顧的回答バイアス
*山縣 芽生寺口 司三浦 麻子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

パンデミック下におかれて1年余経つが,私たちは災禍当初の記憶を鮮明に維持しているだろうか。本研究では,調査における回顧的な回答で生じやすいバイアス(回顧バイアス)が,世界レベルで甚大な被害を受けた出来事について,過去と現在もその非常事態にある状況でどの程度生じたかを検証する。Yamagata et al.(2020)のパネル調査のうち,2020年1月(第1波)の回答と2021年1月(第11波)に1年前を回顧させた回答を比較した。分析対象としたのは第11波に回答した597名(平均年齢40.29±9.52歳)である。差分(第11波の回顧的回答-第1波回答)を回顧バイアスの指標とし,1標本t検定を行った結果,COVID-19への関心(M=-1.73),リスク認知(M=恐ろしさ-1.30;未知性-0.52)は過少に評価された。一方で,外国人への態度では受容的(受入態度-外国人一般M=0.37;-中国人 0.29)で,高い自民族中心主義(M=0.19)でもあったと回顧していた(ps <.001)。以上より,災禍当初を回顧させると回顧バイアスが生じるが,そのパターンは一意ではないことが示された。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top