日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-145
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3.社会・文化
超常信奉と時間割引および批判的思考の関連性
*菊池 聡
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抄録

超常信奉の成立についての解釈として「理解の及ばない事象に遭遇した時,熟慮して時間をかけて科学的に解明するよりも,現代の科学を超えた超常原理によって,手っ取り早く納得できる意味づけを見いだす」という言説が,一般にしばしば見られる。これは超常信奉が直観的処理スタイルや曖昧さへの不寛容などの非熟慮的・非自制的な認知特性と関連するという報告と符合する。その点で,超常信奉は,短期的な解決を受け入れて,将来の解決の価値を低く見つもる時間割引(time discounting)と関連することが予想される。一方で欧米の研究では,宗教的信仰心の特徴として即時的な報酬を断ち切って未来の価値を待つ能力も指摘されている。本研究では,大学生108名を対象として異時点間での報酬選択による時間割引課題を実施し,超常信奉および疑似科学信奉尺度,批判的的思考尺度の関連性を分析した。重回帰分析の結果,疑似科学信奉態度とスピリチュアル信奉態度は時間割引率と正の関連性があり,信奉者が将来の価値をより割り引くことが明らかとなった。これは不可解な現象の解釈におけるセルフコントロールの弱さが超常原理の受容と関連すると解釈できる

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