主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
臨床動作法では,からだに任せきることで難所という慢性緊張を弛め(成瀬,2016),情動に伴う緊張感を意識できるようになる(成瀬,2014)。本研究では,オンラインで接触しない臨床動作法でも失感情症傾向者の情動認識が促されるか否かを検討した。研究Iでは参加者をTAS-20により失感情症傾向群と非失感情症傾向群に分け,オンラインで“シバの女王の入城”の聴取を求めた。非失感情症傾向群は聴取前後でPOMS2短縮版の全てのネガティブな気分の低減を認識した。一方,失感情症傾向群は「怒り-敵意」,「混乱-当惑」,「疲労-無気力」の変化を認識せず(n.s.),「抑うつ-落込み」,「緊張-不安」の低減を認識した(p<.05)。研究IIでは上述の群分けに加え,動作法条件とストレッチ条件に分けた。結果,群分けに関わらず,動作法条件では聴取前後で全てのネガティブな気分の低減を認識し(p<.05),ストレッチ条件では「疲労-無気力」の低減のみ認識した(p<.05)。よってオンラインで接触しない臨床動作法でも情動認識が促され,筋弛緩の努力の仕方によって情動認識を促しも妨げもすることが示唆された。