日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-022
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4.臨床・障害
COVID-19によって生じた学業への不安が将来に対する否定的自動思考を介して抑うつ症状に与える影響
*武田 知也福留 広大梅原 英裕
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抄録

COVID-19によって生じた学業への不安として,授業形態の変化による学業が遅れることへの不安(以下,学習不安)や大学生活を続けていく上での経済的不安(以下,経済不安)に着目し,それら不安が将来に対する否定的自動思考を介して抑うつ症状に与える影響について検討した。大学生800名を対象にWeb調査を実施した。学業への不安として学習不安と経済不安の有無を尋ね,将来に対する否定的自動思考や抑うつ症状の測定には,ATQ-R,PHQ-9を用いた(児玉ら,1994,Muramatsu et al,2018)。統計解析は,説明変数を学業への不安,媒介変数を将来に対する否定的自動思考,目的変数を抑うつ症状とする媒介分析を行った。学習不安から抑うつ症状への直接効果,将来に対する否定的自動思考を介した間接効果とも有意であった。経済不安から抑うつ症状への直接効果,将来に対する否定的自動思考を介した間接効果とも有意であった。本研究の結果から,学習不安や経済不安を有する学生に対して,学業面や経済面での物理的支援だけでなく心理面への支援も抑うつ症状の悪化を防ぐために重要であることが示唆された。

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