主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
【目的】彩色を伴った描画を用いる治療法には様々な技法があり,彩色という行為自体が持つ作用も注目される。本研究では,本人が癒やされると感じる色を彩色することで,抑うつ傾向のある者の不安感情にどのような影響があるのか検討した。【方法】12色のクレヨンの中から,対象者自身が癒やされる色を1色選び,枠内(6 cm×6 cm)にできるだけ丁寧に彩色するよう教示した。時間の制限は設けず,各自の自由なペースで作業をしてもらった。不安感情の評価は,日本版STAI-JYZを用い,彩色前後に評価した。【対象】SDS:Self-rating Depression Scale得点40以上(抑うつあり群65名,平均21.4歳),対照群としてSDS得点39以下(抑うつなし群65名,平均21.5歳)を調査した。本調査の実施とデータ利用・発表に関し,対象者に十分説明し同意を得た。【結果】両群とも有意に状態不安は低下,状態不安(ポジティブ)は上昇,状態不安(ネガティブ)は低下した。変化率では,抑うつ中等度群(SDS得点50以上)は,抑うつなし群に比べ有意に状態不安がマイナスに,状態不安(ポジティブ)はプラスとなった。