主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
新型コロナウィルス感染症の蔓延は,我々の身体・社会・経済に打撃を与え,心理的にも大きな影響を及ぼしている。心理的サポートの必要性が高まる一方で対人接触の回避が求められる状況において,自治体等ではSNSを用いたカウンセリングが活用されてきた。本研究ではコロナ下のSNS相談の実態を明らかにすることを目的に,大阪府が開設した新型コロナ向けSNS心理相談窓口のログ(2020年5月~11月実施分)の匿名化後のデータ提供を受け,機械学習と臨床的視点を合わせる学際的方法を用いて分析を行った。まず,機械的にトピックを抽出する方法であるトピックモデルを用いて,コロナ以前のデータと合わせて相談ログのトピックを抽出した。その結果,「感染しているのでは」という【コロナ症状不安】のトピックは感染者の増減とパラレルな変動をみせたのに対して,「もし感染したら」といった心理的な不安が含まれる【コロナ関連不安】は3ヶ月ほどで一定の落ち着きを見せ,その後減少する傾向がみられた。これは震災後の心理的不安の収まりとも一致した動きであり,災害などの社会的危機における心理反応をマクロな視点から理解する一助となる結果と考えられた。