日本小児外科学会雑誌
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胆道閉鎖症とアポトーシス
大谷 俊樹宮野 武藤本 隆夫安藤 邦澤白井 俊-
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1995 年 31 巻 5 号 p. 760-764

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抄録
近年アポトーシスが慢性肝炎や肝細胞癌などの肝疾患において重要な役割を担うことが明らかになってきた.そこで我々は,12例の胆道閉鎖症とアポトーシスの関係を nick end labeling 法を用いて検索した.同時に対照として6例の胆道拡張症,6例の肥厚性幽門狭窄症を検討に加えた.その結果,胆道閉鎖症12例全例にアポトーシスを認め,特にその局在は門脈域周辺で目立ち,また4例には胆管上皮細胞にも認めた.胆道閉鎖症におけるアポトーシスの程度と術時日齢には逆相関の傾向があると思われたが,アポトーシスの程度と肝線維化度,予後とは相関関係を認めなかった、これに対し,胆道拡張症では1例にのみ,肥厚性幽門狭窄症では2例にのみアポトーシスを認めた.すなわち,胆道閉鎖症におけるアポトーシスは,その程度,局在から単に生理的なものとは考えにくく,肝障害の一因を担っていると推察された.
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© 1995 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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