主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
隠匿情報検査は,情報検出技術として日本のポリグラフ検査に採用され,今日の犯罪捜査に広く活用されている。犯罪という非日常的な行為に伴う覚醒は,記憶検出とも言われるこの検査に影響を及ぼすと考えられるが,その覚醒の効果は十分に検討されているとは言い難い。本研究は,符号化時の興奮・緊張といった覚醒状態が,隠匿情報検査時の呼吸や心拍等の自律系指標にどのような影響を及ぼすのかを検討したものである。ここでは,実験参加者が高覚醒群と低覚醒群にランダムに割り振られ,模擬犯罪課題における覚醒が実験的に操作された。模擬犯罪課題は,実験参加者が事前に選択した刃物で指定された対象物を刺すことであり,対象物は高覚醒群がマネキンの腕,低覚醒群が枕であった。その後の隠匿情報検査において,模擬犯罪課題で実験参加者が使用した刃物を含む複数の刃物の画像が提示され,各画像に対する生理反応を比較した。各群における裁決-非裁決間の生理反応の差異から,検出効率が各指標間でどのように異なるのかについて報告するとともに,自律系指標を用いた隠匿情報検査における符号化時の覚醒の効果について包括的に議論する。