主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
日常生活では他者と一緒に行動することがあるが,その際には注意の割り当てられ方が変わり,行動に伴う記憶の形成が変化する可能性がある。これついて,空間の中で注意が向けられた物体群が記憶されることで特定のターゲットの探索時間が徐々に短くなる文脈手がかり効果を用いて検討した。我々の先の研究で,他者と一緒に同じ物体群に注意を向けながら探索を行い,交互に行為を起こす場面は,一人で探索するときよりも文脈手がかり効果が早く生じた。他者の行為が伴う際には物体群に向ける注意が強まるために,記憶の蓄積が促進された可能性が考えられる。しかし,このような効果がいつ頃,どのようにみられるのか,その発達的起源は明らかでない。本研究は5,6歳の幼児を対象として,成人と同じ効果が見られるかを検討した。参加児が一人で課題を行う群では文脈手がかり効果が見られたのに対して,親と一緒に行う群ではこの傾向がほとんど見られなかった。エラー率に関しては群間に異なる様相は見られなかった。次々と呈示される刺激に従って,自他の課題のうち適切な方を即座に表象しながら物体群の空間情報を学習することは,幼児では未発達である可能性が考えられる。