日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-011
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9.認知
新ストループ検査が示す加齢の影響正答数と干渉率の違いに注目して
*芦高 勇気渡辺 めぐみ
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抄録

新ストループ検査は,5つの選択肢のひとつに印を記入させる回答方式であり,検査時間当たりの正答数に基づいて干渉率を算出する。この検査の特徴として,ストループ干渉(SE)と逆ストループ干渉の両方が得られる。本研究では,新ストループ検査の正答数とSEの加齢の影響の違いについて調べ両者の示す機能の違いを考察することを目的とする。SEは,7歳~70代中15-17歳を底とするU字型の発達変化を示し,加齢に伴う認知障害との関連が示唆されている(箱田・渡辺,2020)。正答数は20代から徐々に減少する傾向にあり,SEとは異なる加齢変化を示している。本研究では新ストループ検査に加えて,この検査とは選択肢の数(2または5選択)などの一部の条件が異なるストループ課題と,ワーキングメモリ(WM)課題とを実施した。参加者は25歳から65歳までの健常な46名であった。結果,新ストループ検査の正答数はWM容量と相関があり,SEは全ての条件でWM容量と相関を示さなかった。20代からの60代の正答数の緩やかな減少はWM容量の加齢変化を反映し,SEで求められる抑制機能とWMの異なる加齢の影響を示していることを示した。

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