主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究は,不快な物事について考え続ける反すう(考え込み)が抑うつに及ぼす影響,およびこの影響に対する能動的注意制御スキル(集中・転換・分割)の調整効果を2時点での質問紙調査によって検討した。約3か月の期間を空けた2回(t1,t2)の質問紙調査に回答した都内の大学生・大学院生150名のデータを分析対象とした。t2の抑うつを従属変数として階層的重回帰分析を実施した。step1で年齢・性別,step2でt1の反すうと3つの能動的注意制御の主効果,step3でt1の反すうと能動的注意制御の3つの交互作用項を投入した。この結果,反すうと3つの能動的注意制御の交互作用がいずれも有意であった(ps<.05)。単純傾斜分析の結果,集中スキルあるいは分割スキルが低い場合にt1の反すうからt2の抑うつへの正の影響がみられた(ps<.01)。一方,転換スキルが高い場合にはt1の反すうからt2の抑うつへの正の影響がみられた(p<.01)。以上より,注意制御スキルが反すうによる抑うつの上昇を予防または助長する要因であることが示唆された。