アンデス・アマゾン学会研究発表要旨集
Online ISSN : 2759-9124
第11号(2022)
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マプーチェのマプとは何だったのか?
*工藤 由美
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キーワード: マプーチェ, 環境, マプ, , 互酬性
会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 13-14

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抄録
 2021年11月3日、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)会場で、地球温暖化対策の国際交渉に先住民との対話の場を設けるよう要請する「ミンガ(集会)」が行われ、先住民側は、世界の多様な生物の70%が先住民の住む地域に集中しており、「先住民が置かれた状況や提案を含めずに、気候変動の解決策を語ることはできない」と主張した。同集会にはチリの先住民であるマプーチェも出席していた。
 本報告の目的は、上述のような世界規模で認識されている「環境」に対し、マプーチェが環境、とりわけ「マプ(mapu:土地)」についてどのように認識し、どういった実践を積み重ねているかの検討を通して、マプーチェの環境の見方と他の見方との異同を比較した。
 地球環境問題において従来、先住民は進歩的な環境開発に対する抵抗ないし主要な障害とみなされてきたが、今では、先住民文化はグローバル化の進展なかで次第に、環境破壊がもたらす問題に対する革新的な応答とみなされるようになってきている[シモン他 2019:141]。先住民にとって土地や自然がその社会と文化統合の重要な基礎であるということの意味を、マプーチェのマプから検討する。
(.....)
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© 2022 本論文著者

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