抄録
1.はじめに
アプリマック県アンタバンバでは、「死者の日」やクリスマスの祭りにおいて、重要な役どころとしてアリエーロ(arriero)が登場する。アリエーロとは、馬やラバなどの荷役獣を用いて物品運搬や交易を行う人物のことである。道路が整備されトラックやバスによる物流が確立した現在、アンタバンバではアリエーロを生業とする人はほぼいなくなった。
アンタバンバのアリエーロに関する先行研究が管見では今のところ見つけられていないため、本発表では、まず、その他地域のアリエーロに関する先行研究をまとめることで、アリエーロの交易活動の経済的側面を概観した。次に、アンタバンバの祭りにおいて、なぜアリエーロが重要な役どころとして登場するのか、その社会的・宗教的役割をアヤクーチョ県のアリエーロと山に関する説話から考察した。
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