抄録
近年、アンデスの地域的信仰の対象であるパチャママ(Pachamama)が、より広範な文脈で言及されてきている。例えば、日本(語)においても、パチャママに言及するウェブサイトやコラムなどが散見され、ラテンアメリカにおいては、憲法や法律においても、パチャママは言及されてきている。このように、地理的な広がりや、民間信仰の枠組みを超えた広がりの中で注目されているパチャママであるが、もちろん、アンデスの地域的な信仰において変わらず重要な存在であり続けている。本報告においては、近年のパチャママについての言及をまとめ、報告者のフィールドでの「経験」と関連させつつ、歴史的視点、民族学的視点、社会・政治的視点からパチャママの現状を分析し、現代世界におけるパチャママの在り方を考察することを目的とする。
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