抄録
「発見」・「征服」の時代以後に新世界に渡ったロマ人・ヒターノ(「ジプシー」)に関しては、これまでほとんど着目されてこなかった。15~16世紀のスペイン社会の状況、新世界発見のプロセス、そして歴史文書等の考察を進めると、アンデス地域にも相当数が渡ったことは疑問の余地がない。民族誌に目を向けると、先住民社会への影響も少なくないように思われるものの、ヒターノという名称を伴う文書の記述は、極めて少ない。本報告では、アンデス先住民社会で継承されてきた歌に着目し、両者の接触・共存の可能性の一端を示した。その上で、ヒターノがペルー史から消されてしまう要因の一部を指摘した。
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