社会政策
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所得政策の現在
母子世帯の貧困と低賃金に対する政策効果についての分析
田宮 遊子
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2019 年 10 巻 3 号 p. 26-38

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抄録

 日本の母子世帯は就労率が高いにもかかわらず貧困率も高い就労貧困の特徴を有している。本研究では,1992年から2007年までの「就業構造基本調査」の匿名データを用い,就労形態別,世帯属性別の貧困率を推計することにより,母子世帯の就労貧困の特徴を分析した。その結果,母子世帯の就労収入のみで推計した就労貧困率は70%を超える水準であった。また,非正規雇用,労働時間が短い,教育歴が短い,末子年齢が低いことは母子世帯の就労貧困率を高める要因となっていた。 さらに,母子世帯の就労貧困に対する最低賃金引き上げの影響をみるために,地域最低賃金の上昇率と都道府県別雇用率の変化分との相関関係を分析した。その結果,シングルマザー,カップルマザーともに,最低賃金と雇用率との間に負の相関はみられず,最低賃金の引き上げが雇用の減少をもたらしていなかった。これは,近年の最低賃金の引き上げが母子世帯の就労貧困リスクを低減させる可能性を示唆している。

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© 2019 社会政策学会
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