抄録
子どもたちへの知識の伝達は、言語的陳述(文)を用いて行われるのが普通である。子どもたちが言語的陳述の相互関係をどの程度正しく理解しているかを知らなければ、効果的な伝達はできないだろう。ここでは言語的陳述の相互関係の理解の発達をimplicational(含意的)命題とdisjunctive(選言的)命題について調べる。陳述がru-eg(法則-例)関係ないしは、一般-特殊の関係にある場合と、論理的変換関係(対偶・ウラなど)にある場合を含めて扱う。同一水準の命題同士の論理的関係を扱った研究はあるが(金岡など)、水準の異なる命題の間の関係を扱ったものはない。知識の伝達は子どもの主張の誤りを示す例をあげたり、過度の一般化が必ずしも成立しないことを指摘したりという形で行なわれることが多いので、この関係を扱うことは重要だと思われる。