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β-TCPへの各金属イオンの固溶形態について検討した. 一価金属イオン固溶β-TCPは添加量約9mol%まではβ-TCP単相であった. 一価金属イオン添加量9mol%以上ではCa10M(PO4)7に帰属する回折ピークと添加したイオンで構成されるリン酸カルシウム化合物が認められた. 1000℃で焼成により得られた一価金属イオン固溶β-TCPの格子定数は添加量の増加にともない添加量9mol%まで直線的に変化し, 添加量9mol%以上では格子定数の変化が認められないことより, β-TCPへの一価金属イオンの固溶形態はCa(4)サイトと空孔に9mol%まで置換固溶すると考えられた. Mg2+添加の場合は, Ca(5)とCa(4)サイトに14.3mol%まで置換固溶した.