抄録
βアルミナの高温強度特性を他の機械的特性及びイオン伝導性と比較し、その温度依存性の発現機構を検討した。強度は200℃までの低下が大きく初期強度の60%程度まで低下し、その後低下は緩やかになった。破壊靭性も同様の傾向を示す。また、ヤング率に比べ有効破壊エネルギーの低下が大きいことから、有効破壊エネルギーの低下が強度低下の主要因と考えられた。イオン導電率の温度依存性は250℃近傍で変曲点が認められ、強度の低下傾向と対応している。250℃までは温度の上昇に伴い空孔の移動度が上昇するため、ナトリウムイオンが動き易くなりイオン導電率が上昇し、イオン伝導面における結合力が低下するため、強度が低下すると考えられる。