抄録
本研究では炭化けい素、アルミナ、ジルコニアを含むセラミックスのようなぜい性材料の破壊じん性を圧痕(IF)法によって測定した。そして、圧痕挿入によって生じた微小き裂の形態の自己相似性に着目し、き裂のフラクタル次元をボックスカウント法によって求め、破壊じん性との関係について検討した。その結果、セラミックスなどの破壊じん性は、き裂のフラクタル次元の増加、すなわち、き裂形態の複雑化とともに増加することがわかった。さらに、理論式に基づいて材料の弾性係数や表面エネルギーの違いを考慮すると、破壊じん性とき裂のフラクタル次元の関係は、セラミックスの種類によらず一つの式で表されることが明らかになった。また、き裂形態のフラクタル性と材料の微細組織との関係についても検討した。