抄録
本報告では、ガラス形成能の高い物質であるSiO2,B2O3,P2O5,TeO2のナノ構造単位に見られる個々の化学結合に注目し、その結合を担う電子対の電場に対する振る舞いを第1原理分子軌道計算法を用いて調べ、マクロな量である屈折率を計算した結果を示す。
通常、ミクロな構造モデルによるクラスター計算から、1023個以上の原子からなるバルクのマクロな物性値を導く場合、その結果が実験値と異なる場合が少なくない。また、たとえ局所的な構造でバルクの特性が議論できる場合においても、その構造モデルの表面原子(自由空間との境界に存在する原子)の影響は十分考慮に入れておく必要がある。本研究では、表面原子の影響を局所分極率を用いて除外することにより、実験値と比較し得る屈折率計算値を得ている。