抄録
Pt/IrO2/SiO2/Si基板上に,PLD法を用いて,SrTiO3等をシード層として導入し,MOCVD法を用いて,Pb(Zr,Ti)O3(PZT)薄膜を成膜した.シード層の種類,成膜条件の最適化と,PZT成膜条件,特に成膜速度の最適化によって低温結晶化が可能となった.シード層は,500℃で数nm形成したが,PZTの結晶化は290℃の低温で達成することが可能となった.また,低温での結晶化においては,PZT原料の供給速度の最適化が重要で,原料供給量が多いと結晶化が間にあわず成膜の表面中にアモルファスが生成した.これはシードによってPZTの結晶化が低温で誘起されるものの,結晶化を継続するには原料供給量を少なくすることが重要であることを示している.