抄録
水熱条件下でチタニウム基板をアルカリ性の金属塩水溶液と反応させると、その表面に結晶性のチタン酸塩膜が析出する。析出開始までの時間は、反応温度や金属塩の種類、アルカリ溶液の濃度により異なり、結晶膜と基板との間には、Tiと酸素からなる層の存在が認められた。反応温度や金属塩の種類、アルカリ溶液の濃度により、層の厚さは変化した。このTi-O層が厚くなると、膜の剥離が生じやすくなることから、アルカリ水溶液中では、チタン酸塩の結晶析出に先立ち、チタン基板表面に含水量が多く結晶性の低い酸化チタンの層が生成すると考えられる。この酸化チタン層より供給されるチタンと溶液中の金属イオンとが反応することによりチタン酸塩が生成すると推察できた。