抄録
固相反応法で合成する(K0.47Pb0.03Na0.5)Nb0.994O3圧電セラミックスの作製において,湿式ボールミルの液体に水を混入した場合の影響が検討された.水とエタノールの混合溶液の場合にはK2CO3とNa2CO3が溶けた水とエタノールが2相に分離するが,水とメタノールの場合には一様な溶液になる.このことから,水とメタノールの混合溶液について,水の濃度を変化させて検討した.得られたセラミックスの圧電特性は水の濃度によって大きく影響された.水を混入しない場合,径方向電気機械結合係数が40%以上を示すような試料を得るためには40h以上の焼成時間を要するが,適当量の水を混入することによって,2h焼成でも同等の試料が得られた.