抄録
我々は、マイクロ波用のデバイスとしてのYIGの飽和磁化の温度特性を改善するために、Yの一部をGdで置換し、磁気補償温度を出現させ、さらにFeイオンを非磁性イオンで希釈することによりキュリー温度を変化させて室温付近の飽和磁化一定化を試みている.薄膜合成はLPE法を用いた.前回報告したY2Gd1Fe5-xAlxO12では飽和磁化変化がYIGの場合の200 gaussから6 gaussへと改善されたものの強磁性共鳴吸収半値幅は77 Oeと大きな値を示した.飽和磁化が500 gauss以下になると半値幅が増加するという報告をふまえ、本研究ではTiをFeの八面体位置に置換することで飽和磁化を増加できると期待してY3-x-yGdxCayFe5-zTizO12を合成し評価した.その結果、GGG基板を用いた薄膜で温度変化一定領域で1400gauss、室温での半値幅が20 Oe程度の特性が得られたのでその詳細を報告する.