抄録
BaTiO3の誘電率のサイズ効果に関して実験的検討を行った結果について報告する.純粋なBaTiO3を用いて焼成温度を変化させることにより結晶粒径の異なる多結晶焼結体サンプルを作成して評価した.結晶粒径1μm以上で緻密な焼結体が得られ,結晶粒径1μm付近で誘電率が大きくなる現象が確認された.これらのサンプルについて結晶構造を解析したところ,結晶粒径が小さくなるにしたがって,c軸/a軸比が小さくなる傾向が認められた.誘電率の変化に結晶構造の変化が重要な役割を果たしている可能性が示唆される結果となった.