抄録
現在最高性能の酸化物熱電材料であるNaCo2O4は、熱伝導率がシリカガラスなみに低いという特異な性質を有する。この原因は、NaCo2O4のCoO2層間に位置するNaサイトが半分欠損しており、その無秩序性がフォノンを効果的に散乱していると考えられているが、詳細はわかっていない。そこで、酸素空孔が規則配列した斜方晶ブラウンミラライト構造とランダムに分布した立方晶ペロブスカイト構造との間で相転移を起こすSrCo1-xFexO3-δの熱伝導率の組成・温度依存性を調べ、酸素イオンのorder-disorder転移による選択的フォノン散乱の可能性を検討した。SrCo0.7Fe0.3O3-δの熱拡散率の挙動は通常のフォノン熱伝導に見られるT-1則から大きくはずれ、400_から_500℃付近で急激に低下しており、高温相であるペロブスカイト構造中の酸素空孔のランダムな配列がフォノンを効果的に散乱させていることが示唆される。