日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
CTガイド下ドレナージが奏効した腹部大動脈人工血管感染の1例
田畑 光紀 佐藤 誠洋佐伯 悟三
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 5 号 p. 373-376

詳細
抄録

腹部大動脈人工血管感染は致死的な合併症である.治療は感染人工血管摘出術が推奨されるが,侵襲が大きい.症例は65歳男性,2カ月前に両側総腸骨動脈瘤,腹部大動脈瘤に対し開腹人工血管置換術を施行した.発熱を主訴に当院受診,炎症反応上昇と造影CTで人工血管周囲の液体貯留と周囲脂肪織濃度上昇を認め,人工血管感染と診断し,抗生物質投与を開始した.入院5日目のCTで液体貯留の拡大を認め,CTガイド下で同部位を穿刺し,乳白色の膿汁を認め,ドレーン留置した.ドレナージ翌日から解熱,穿刺後7日目にドレーンを抜去した.排出された膿からはMSSAが検出された.抗生剤を内服へ切り替え,入院38日目に退院した.退院後10カ月が経過したが,再燃は認めていない.人工血管感染に対するCTガイド下ドレナージは原因菌の特定と治療を兼ね備えた低侵襲な手技であり,腹部大動脈人工血管感染の治療戦略として考慮すべき手技である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top