抄録
Pb(Zr,Ti)O3(PZT)強誘電体は、高い残留分極をもつが、リーク電流が大きいなどの欠点もある。本研究では、Siを添加しPZTのBサイトに高価数のWを置換した(Pb,Si)(Zr,Ti,W)O3バルク体の試料を合成し、強誘電特性と結晶構造の関係について検討した。相の同定を粉末X線回折、表面、断面形態をSEMにより、強誘電特性は強誘電体テスタTF2000を用い、誘電率はLCRメーターを用いて測定した。各試料の主相はPZTと同じ構造であることがわかった。強誘電体特性はW置換によりヒステリシスループが角型化した。また、誘電率測定はW置換量0.02、Si添加量1mol%においてキュリー点Tcは減少し、誘電率εは増加した。さらに、粉末中性子回折により結晶構造解析を行い、結合距離、結合角、TiO6八面体の歪み、自発分極と強誘電特性との関係を比較検討した。