抄録
酸化イットリウム(Y2O3)にドープされたEu3+は対称性C2及びC3iを持つ2つの結晶サイトに位置する。C2サイトを占有するEu3+イオンは5D0→7F2遷移による赤色発光を示す。一方、C3iサイトを占有するEu3+イオンは5D0→7F2遷移による赤色発光を示さない。このことよりY2O3:Eu3+蛍光体の発光強度はEu3+のC2サイト選択性に依存すると予想できる。本研究ではC2サイトをEu3+イオンに占有させるため、C3iサイトを他元素イオンに占有させることを試みた。他原子イオンにはBi3+イオンを選択した。大気開放型化学気相析出法により作製したY2O3:(Eu3+,Bi3+)試料について、フォトルミネッセンス法を用いてC2サイトを占有したEu3+の相対量を調査した。スペクトル分析より、1.5 at.%程度のEuを添加したY2O3:Eu3+試料及びY2O3:(Eu3+,Bi3+)試料のC2サイトを占有するEu3+の相対量はほぼ同等であることが示された。