抄録
窒化アルミニウム(AlN)は、高熱伝導、高い絶縁性、低い誘電率、Siと近い熱膨張係数を有するため、半導体基板に使用されている。従来、アルミナの炭素熱還元法によって単一相AlNを合成するには一般に1500℃以上の高温が必要であった。
我々は出発原料としてゾル化したベーマイトをオレイン酸に加え、高速攪拌することによってオレイン酸ベーマイトエマルジョンを作製した。このエマルジョンをArガス中600℃で熱処理することで、アモルファスカーボン中にナノサイズのアルミナ(約10nm)が均一に分散した混合物を作製した。このカーボンとナノアルミナ混合物をアンモニアガス(100ml/min)流通下、1150℃、3時間で窒化した結果、単一相の約10nmサイズのAlNが生成したことが分かった。従来の炭素熱還元法と比較すると400℃以上の低温でAlNなの粒子が得られることを明らかにした。