抄録
大矢らはチタンテトライソプロポキシド(TIP)等のアルコキシドと乳酸(Lac)等の有機酸、水を混合すると無色透明なチタン酸水溶液(TIP-Lac)が得られ、これを用いたゾル-ゲル法で酸化チタン薄膜を作製できることを報告した。本研究では、強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT、PbZrO3-PbTiO3) を合成するための前駆体水溶液にこのTIP-Lac水溶液を使用することを検討した。このTIP-Lac溶液とジルコニウムと鉛の有機酸塩を混合したところ、ほぼ無色の透明な水溶液が得られることを見出した。この水溶液はハロゲン、窒素、硫黄を含まないので、環境負荷の低い合成プロセスが期待できる。