日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2006年年会講演予稿集
セッションID: 2P091
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Pb添加されたCo349の結晶構造と熱電特性
*中津川 博五味 奈津子田中 紀壮
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抄録
高い熱電特性を示す[Ca2CoO3]0.62CoO2は、伝導層CoO2層間にb軸方向に異なる周期を持つ絶縁層[Ca2CoO3]層が挿入され、単斜晶のa, c軸を共有した層状複合結晶である。CoO2層はC2/mの対称性を有し、[Ca2CoO3]層はC21/mの対称性であるので、両者の間には大きな変位変調が観測される。今回、我々はPb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2を作製し、その結晶構造と熱電特性を測定した。試料は原料粉末CaCO3 (99.9%)、Co3O4 (99.9%)、PbO (99.9%)より、一般的な固相反応法を用いて、多結晶試料 [(Ca1-xPbx)2CoO3]0.62CoO2 (0.00≦x≦0.08) を作製した。焼成条件は、空気中920℃で数回の焼成を繰返し、酸素雰囲気中700℃でアニール後クエンチすることによって目的試料を得た。作製した全ての試料について、室温での粉末X線回折測定をすることにより相の同定を行った。また、全ての試料について、400K以下の温度範囲で、熱電特性と磁化率の測定を行った。右図は、x=0.04の試料の結晶構造と熱電特性の結果である。超空間群C2/m(1 p 0)s0を用いて構造解析した結果、a = 4.8252Å、b1 = 2.8237Å、c =10.8669Å、β = 98.116°、b1/b2 = 0.618 を得た。室温における抵抗率と熱起電力はそれぞれ28.5mΩcmと124μV/Kであり、高い熱電特性を示した。磁化率測定の結果から、20K以下で明らかなフェリ磁性転移も確認した。講演では、その詳細を報告する予定である。
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©  日本セラミックス協会 2006
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