抄録
近年、導電性酸化物の半導体デバイスへの応用が精力的に検討されており、紫外発光ダイオード、透明トランジスタなどの基本的なデバイス要素の動作実証が一通り終わりつつある。しかしながら、酸化物半導体デバイスの実用化を目指すのであれば、それらが従来の半導体デバイスに対して持つ長所を明確にし、その長所を活かした用途を開拓する必要がある。われわれは、アモルファス酸化物半導体が、室温で製膜しても10cm2/Vsを越える移動度を有することに着目し、室温で作製した薄膜トランジスタも同程度の電界効果移動度を示すことを報告してきた。本講演では、実用デバイスへの応用を念頭におき、どのような物性・特性がデバイス材料に必要とされるかを再検討し、それにそった材料設計指針について、実際に作製した薄膜トランジスタの特性と併せて議論する。