抄録
水酸アパタイトの物理的、化学的性質は結晶構造と密接に関係している。化学量論比(Ca/P=1.67)の水酸アパタイトは高温、低水蒸気圧下でOH-サイトに欠陥が生じ、可逆的にオキシ・ハイドロキシアパタイトに変化する。また、OH基の存在量により生体親和性が異なると考えられている。そのため、OH基の存在量が異なる水酸アパタイトの構造を調べることは大変重要なことである。本研究では、水酸アパタイトおよびオキシ・ハイドロキシアパタイトに対し局所的な構造に敏感なリンの固体核磁気共鳴(31P MAS NMR)を用いて、リン原子周囲の構造の観察を行った。