抄録
高いプロトン伝導性を示すNafion®膜は、固体高分子形燃料電池の電解質膜として利用されているが、価格や熱的安定性などの点で問題があり、より安価で優れた燃料電池特性を有する電解質膜が望まれている。我々は、交互積層(LBL)法を用いた電解質の超薄膜化とその燃料電池への応用について検討を行っている。LBL法では、常温・常圧下において数ナノメートルオーダーで均一な膜が得られ、超薄膜化により大幅なプロトン伝導体使用量の削減などが期待される。これまでにゾル-ゲル法によって作製したフェニルシルセスキオキサン(PhSiO3/2)粒子の表面をプロトン伝導体(Nafionやリンタングステン酸)で修飾し、その後加圧によって粒子を圧着することで、粒子界面にプロトン伝導体が濃縮された新規電解質膜について構造や導電率などを報告してきた[1]。例えば、NafionをPhSiO3/2粒子上に10層積層してシート化した膜のプロトン導電率は3.2×10-6 S/cm (80 ℃, 80 % R.H.)であり、未修飾の試料と比較して3~4桁程度高い導電率を示す。今回は、親水性が高く水に可溶なポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(PAMPS)をLBL法によりPhSiO3/2粒子上に固定化することで、より高いプロトン伝導性を示す電解質膜の作製を試みた。