抄録
有機化合物を混合して調製したリン酸カルシウム水溶液を噴霧熱分解すると,球状粒子の表面に炭素が残留しやすいことに着目し,これらの炭素を酸化・除去してβ-オルトリン酸カルシウム(β-Ca3(PO4)2; β-TCP)多孔質粒子を調製するための諸条件を検討した。その結果,グルタル酸を0.2 mol∙dm-3添加して合成し,900℃で10 min熱処理して得た粉体の比表面積が最大となり,気孔径も大となった。このβ-TCP粉体を利用して,アルギン酸塩との複合多孔体を作製した。この複合多孔体は50~200 μmの大きさの気孔が互いに連通しており,しかも気孔率が85%以上と高い値を示すことが分かった。