抄録
熱物性顕微鏡は試料表面をレーザで周期加熱し,試料の表面温度応答の位相遅れを測定することで熱浸透率を求める装置である.低熱伝導性物質では位相遅れと熱浸透率の関係を校正することで熱浸透率が求められるが,高熱伝導性物質の測定では校正方法が確立されていなかった.そこで本研究では,高熱伝導性物質の校正法の提案および単結晶SiCの熱浸透率分布測定を行った.単結晶SiCを用いた校正法に基づくと,測定結果の再現性は熱浸透率で6.8%程度であった.また,単結晶SiCの熱浸透率分布を測定したところ,熱浸透率の偏差は2.5%程度で,測定面内で均質とみなすことができた.また,算出された熱伝導率は既存のデータとよく一致した.