抄録
撥水コーティングは工業材料としてニーズが高く、防水、防汚、着雪着氷防止、潤滑など様々な用途に広く用いられているが、撥水表面上を転落する水滴の挙動と固体表面の諸性質の関係性は必ずしも明らかでない。転落する液滴内部にはキャタピラ状の回転流動に加え、固液界面でのすべり運動が存在することが実験的に確認されている。本研究では、撥水膜の表面粗さや化学組成を高度に制御し、その上で蛍光粒子を添加した水滴を転落させた。シート形状のArレーザーを転落中の水滴に照射し、液滴の内部の粒子像を直接高速度カメラで観察、さらに粒子画像流速測定法を用いて水滴の転落性と内部の流動状態・すべり運動を評価した。