抄録
材料物性の多くは組織敏感性を示すが,強度と靱性の組織敏感性は大きく異なる.強度は最弱き裂に強く依存し,顕著な寸法効果を示すのに対し,靱性は微細組織に依存し,寸法効果を示さない.ここでは,Griffith-Irwinの式とlocal fracture criterionから試験片寸法に依存しない強度である臨界局所応力を定め,臨界局所応力と靱性の関係を導く.また靱性は,強度と(損傷域寸法)1/2の積に比例すること,従ってセラミックスの高靱化には,強度と損傷域寸法を大きくする必要があることを示す.