抄録
ゾルーゲル法によるZrO2薄膜は焼成により結晶化する。多くの研究例ではアモルファスから正方相へ変化し,それが単斜相へと変化する。アモルファスから正方相への変化は,ゲル膜内の有機物などの存在によると考えられている。我々は,ゾルーゲル法により石英基板上にZrO2薄膜を作製し,その結晶相は膜厚により変化することを明らかにした。すなわち,膜厚が約80nm以上のZrO2薄膜は,900℃で焼成後単斜相である。しかし,膜厚が28nmと薄くなると正方相が出現し,さらに7nmでは正方相のみとなった。従って,ZrO2薄膜の結晶相は膜厚に依存し,さらに石英基板の影響により正方相が選択的に生成することが分かった。