抄録
小型固体酸化物型燃料電池(SOFC)では,頻繁かつ急速なシステムの起動停止が要求され,発電可能な温度まで急速に昇温する必要がある.本研究では,スカンジア部分安定化ジルコニア電解質について,実体セル厚さ(0.15mm)試験片での熱機械的評価を行い,急速昇温時に問題となる耐熱衝撃性の評価を赤外線放射加熱法により行った.Sc量を変化させたScSZを円板状にシート成型し,1350℃にて常圧焼結したものを使用した.熱衝撃試験は赤外線放射加熱法を使用し,熱衝撃強度を実験により求めることで,これらの試験片の耐熱衝撃性を定量評価した.ScSZの熱衝撃強度はSc量の増加に伴って低下した.HIP処理時間の増加に伴って熱衝撃強度が向上する傾向が見られたが,4Scにおいては一部に単斜晶への相変態が確認され,強度が低下していることが考えられる.10Sc1Ceでは大幅に低下した.