日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
第20回秋季シンポジウム
セッションID: 3C08
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分子集合体からセラミックスへ:結晶性ポリエチレンイミン集合体の転写による高度階層性シリカ創製
*金 仁華
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抄録
自然界にはバイオシリカと呼ばれるdiatom, sponge類生き物が広く生殖するが、これらの生き物はセラミックスとかけ離れない。構造的に見れば、バイオシリカという生き物は、自分達の細胞膜をシリカでコートしてからできた精巧なシリカデバイスである。ところが、そのシリカコートには美を極めた構造ばかりである。最近、その複雑なシリカ構造を誘導する分子因子として、バイオシリカの種の特異性(species-specific)として見られる長鎖ポリアミン類が重要な働きをすることが明らかとなっている。  我々はバイオシリカの仕業を模倣するアプローチとして、バイオシリカに含まれるポリアミンと一次構造上類似性を有する線状ポリエチレンイミン(LPEI)を設計し、それをbiomimetic mineralizationに展開した。LPEIは水性媒体中結晶を形成するが、それには必ず形状発現を伴う。その形状は、ポリマー構造、例えば、線状ポリマー、星型ポリマー、櫛型ポリマーによって異なり、同一ポリマーであっても、結晶形成の媒体組成、ポリマー濃度などを少々変えるだけで、結晶の形状は大きく変化する。まさに、LPEIの結晶形状発現には、多くのプログラムが潜められたと考えざる得ない。応用的視点から見た場合、もっとも重要なのは、LPEI結晶体表面は、アミノ基畑であることである。それを触媒または足場として利用することで、様々な形状の無機材料を創製することができる。ここでは、LPEIの結晶形状の代表的な例を取り上げながら、それをアルコキシシラン加水分解の反応場として用いることによる一連の複雑な階層性ナノシリカ、例えば、ファイバー状、バンドル状、フレーイク状、星状、扇子状、花びら状、ウニ状、タービン状、ラメラー状、球状など1次元、2次元、3次元に広がる様々な構造と形態を有するシリカの構築、それらの形成機構、および分子プログラム的な制御方法について紹介する。また、この方法の展開として、金属ナノ構造体/セラミックス複合についても報告する。
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©  日本セラミックス協会 2007
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