抄録
六方晶Ba6Nd2Fe4O15型構造を持つ酸化物の合成を行い、粉末X線回折・中性子回折により結晶構造を明らかにした。この構造では、磁性イオンは八面体サイトと四面体サイトを占有する。磁化率の特異な温度依存性が観測され、八面体-四面体サイト間の強い磁気的相互作用によって、磁気的なクラスターとして振る舞っていることが明らかになった。この一連の化合物は、クラスターを構成する磁性イオン自体の性質、クラスター内相互作用、クラスター間相互作用の違いにより、低温で反強磁性からフェリ磁性、また、スピングラス的挙動といった様々な磁気的挙動示すことが明らかになった。比熱や中性子回折等の測定を行って、その磁気的挙動の解明を試みた。