抄録
窒化アルミニウム(AlN)セラミックスは,高熱伝導率,高透光性,高絶縁性,高耐食性を有する優れた材料として様々な分野で用いられている。AlNセラミックスは,結晶中に固溶した不純物や格子欠陥の影響により,熱伝導率や透光性などが低下することが知られている。このため,焼結助剤や焼結雰囲気とAlNセラミックス中の格子欠陥との関係について研究が進められている。しかしながら,AlN粉末製造時に,その表面に形成されるAl2O3薄膜層の焼結時における効果などについては十分な解明がなされていない。本研究では,サブ・ナノ領域の構造変化を高温で直視できる,高分解能透過型電子顕微鏡(HREM)その場観察法により,高温におけるAl2O3薄膜層の効果を明らかにする。