抄録
チタンテトライソプロポキシドと水酸化テトラメチルアンモニウムを混合して水で希釈することで、室温で安定な、透明なチタン酸コロイド水溶液が調製できた。このコロイド水溶液を水熱処理した結果、アスタリスクの形をしたアナターゼの結晶集合体が得られた。アナターゼの結晶系が正方晶系であるにもかかわらず、六方向に伸びたアスタリスク型の集合体が得られたことは興味深い現象と考えられる。そこで、水溶液中に溶存したチタン酸コロイドの構造やアスタリスク型アナターゼ集合体の生成過程や微構造を観察し、なぜこのような特異な形態にアナターゼ結晶が組織化したのかについて検討した。